縮毛矯正はクセを伸ばし、ストレートヘアに仕上げる作業なのですが
とても難易度の高い作業です。
髪の状態に合わせて『クセを伸ばす力』と『毛髪を保護する力』のバランスをコントロールします。
クセを伸ばす力が強すぎると髪に著しい負荷を与えてしまい、毛髪が大きく損傷してしまいます。
逆に、毛髪を保護する力が強すぎるとクセが伸びずにクセが戻ってしまいます。
両方の力のバランスを上手くコントロールして美しいストレートヘアに仕上がるように
慎重に作業をする必要があります。
縮毛矯正は慎重に作業をする必要があるのでどうしても長時間の作業になります。
特に、髪の状態によって所要時間も変わります。
一般的には2時間半ほどで終わるのですが、
ダメージレベルが高い髪、加齢で細くなった髪、
クセが強い髪などはやはり難しくなってくるので
所要時間が増えてしまいます。
その中でも作業工程が多いので仕方ないのですが、
一つ一つの工程に重要な意味があります。
クセの強さ、髪のダメージレベル、髪質や履歴などの状態を一つ一つ確認しながら
同時に頭の中では施術の重点ポイントや使用薬剤を決めていきます。
特にダメージのある状態には事前に栄養補給して、髪の基礎体力を少しあげた状態で施術する必要があります。
髪の構成に必要なケラチンなどの栄養補給やコンプレックスと呼ばれる皮膜形成をします。
ここで髪の状態を親水状態から疎水状態へと変化させます。
親水状態とは水を吸いやすく、毛髪内部に水分が多い状態のことで、
疎水状態とは毛髪内部に油分が多い状態のこと。
ダメージ毛は親水状態、健康毛は疎水状態となります。
疎水状態にするには毛髪内部に疎水性のある物質で満たすのです。
一度水洗して、寝癖やゴム跡を取り除き、本当のクセのみの見極めをします。
濡れている状態、さらに乾いている状態でクセの形成も変わりますので、きちんと確認をします。
ここからクセを本格的に取り除く作業に入ります。
クセの状態を見極めて配合した縮毛矯正剤を使用します。
アルカリチオ、スピエラ、GMT、システアミン、弱酸性チオ、システイン、
これらはクセを取るための『還元剤』と呼ばれるものです。
それぞれ働きや特性が違いますし、髪に与える負荷も違います。
マテリカヘアーでは様々な還元剤を備えておりますが、
体力のある髪にはクセをしっかり取ることができるスペックでの配合、
体力があまりないダメージ毛やグレイカラーを繰り返す加齢毛にはクセを取ることができるギリギリまで弱くした還元剤濃度に薬剤混合で微調整します。
先ほど塗った還元剤を水洗し、ここでも必要なケラチン、油分を補給します。
「中間水洗、中間処理」と呼ばれる作業です。
ここでも髪の状態を親水性から疎水性へと持っていきます。
ここでは毛髪の状態に合わせて多くて9種の処理剤をつけていきます。
乾かす前には毛髪内部に油分をさらに足していきます。
油分で満たしてアイロン熱から毛髪を保護し、
効率よくクセを伸ばすための下準備をします。
ストレートアイロンを使って髪をまっすぐに形成させます。
今までたくさんの縮毛矯正をして圧倒的な経験を積んでから感じたことなのですが、
このアイロン作業が一番重要になります。
指先の感覚、目での感覚、
プレスの具合、テンション(引っ張る力)、
これらの調整が少ない負荷でクセを伸ばすためにとても重要になります。
ここまできたらラストスパート。
形状記憶の定着をさせるための酸化剤を塗ります。
先ほど塗った酸化剤を丁寧に流し、
最後に毛髪保護膜を形成するトリートメントを使用します。
サラサラになりました。
柔らかく、つるっとした髪質。
まっすぐすぎず、またペタッとしないナチュラルな仕上がりです。
これだけの工程でおよそ2時間半くらいかかります。
縮毛矯正で使用する薬剤は、クセを取り除く還元剤と
毛髪強度をあげる処理剤があります。
還元剤もたくさんの種類があるのですが
処理剤もかなりたくさん使い分けます。
総合的な『トリートメント』ではなく
病院で出される処方箋のような感じに使います。
病院では風邪を引いた時に出される薬は
鎮痛剤、抗生物質、解熱剤、咳止め、などなど目的別に分けて出されますよね。
このように一つ一つの効果効能に別れている薬剤を、毛髪の状態に合わせて使いますので
効果的にパワーを発揮するのです。
写真はほんの一部の処理剤。
ここだけでも20種くらいありますね。
難しい縮毛矯正でも対応しております。